ホーム > 著書 > 出雲を原郷とする人たち

出雲を原郷とする人たち

民族の創出

岡本 雅享 著   岩波書店(2014/7/26)

価格:¥3,024   2016年11月26日

「出雲」発の人びとの移動の歴史を足で辿る、異色の移住・文化史 神話の地・出雲から遠く離れた列島各地に、出雲という地名や神社が数多く存在するのはなぜか? 全国の「出雲」を訪ね歩くとともに、神話・伝承・考古学・郷土史を博捜し、「海の道」をメインに各地へ伸びた出雲文化の広がりを解き明かす。 『山陰中央新報』好評連載、待望の単行本化!

目次

各地の郷土史を結ぶことで、
列島の広域にわたる人の移動、
文化伝播のルートが見えてくる

 

大和文化が畿内を中心とし放射線状に拡がったと言われてきたのと比べれば、 出雲文化は海流の道に沿った一定の方向へ、顕著に伸びています。新羅と繋がる出雲文化は海路で能登から越へ伝播し、 越後で内陸に折れ、信州・北関東へと南下していく。今まで孤立していた各地の郷土史をつなぎ合わせることで、 出雲からの人の移動や文化伝播のルートが見えてきました。出雲に限らず、取り上げた関連地域の、郷土を越えた人の移動、 文化の交流史としても、おもしろい本になったと思います(能登と越後、越後と会津、北信、北関東とのつながりなど)。 同じことは、宗像や安曇などでもできるのではないかと思います。郷土と郷土の歴史を結ぶことで、 列島や列島をも越えた広範囲な人の移動、文化の交流を描き出す―本書がそんな試みの一事例にもなれば、幸いです。

書名の由来
山陰中央新報連載
「出雲を原郷とする人たち」
(2011年4月~2016年1月)

 

2007年には台北で、2008年にはサンフランシスコで期せずして出雲出身者と出会い、お世話になりました。 2009年も北カリフォルニア島根県人会の新年会やオアフ島のハワイ出雲大社などで出雲ゆかりの方々に、よくしていただきました。 出雲をoriginとする人たちが世界各地にいる。列島各地に残る「出雲」地名や出雲神社も、出雲人たちの移住の足跡ではないか。 スペイン語地名が多く残る米国西海岸や、日系移民とともに生まれたハワイ出雲大社に身を置きながら、考えたことです。 自身、出雲の外で暮らす出雲人の私が、同じく出雲を原郷とする人たちの地を巡る―2011年春、山陰中央新報で連載を始めるにあたり、 自分のアイデンティティに重ねて名づけたタイトルでした。

表紙デザイン(裏話)

 

表カバーには当初、私が取材先で撮った列島各地の「出雲」の写真を、 落ち着いた赤を背景に組み合わせるつもりでしたが、その組み合わせに試行錯誤する中、編集者の刈屋琢さんが、 その中の1枚、出雲の気多島が映る海の写真を、表から背表紙までまわす斬新なデザインを提案。 あまりに大胆な方針転換に戸惑いを感じた私も、周囲の感触を確かめつつ、これがいいと思い、 表にするつもりだったデザインが裏カバーとなりました。こうして、表から背までは海と空の青、 背は赤という奇抜でありながら落ち着きのある色合わせが、生まれたのです。私を驚かせる提案をして下さった刈屋さんに、 感謝です。

表カバー
表カバー
裏カバー
裏カバー
カバー背
カバー背
チラシ
チラシ

海の広がりを感じさせる写真を表に、という発想は、本書の趣旨を熟知した編集担当者ならでは。 南洋との交流を物語るゴホウラ貝の腕輪が出土した猪目洞窟から1㎞余の十六島(うっぷるい)湾の端(出雲市下町)に 位置する平島は、出雲国風土記の気多島とされる岩礁ですが、山陰から能登半島、越後まで海沿いに連なり、 越後から内陸に折れて、会津や武蔵(北関東)へ伝播した気多(ケタ)地名・神社の起点です。 海の道を大動脈とする人の移動、文化の伝播を主題とする本書にふさわしい表紙となりました。 なお裏カバートップには出雲大社にご提供いただいた遷宮後の御本殿、左下(2枚)には私が一眼レフ、 ポジフィルムで撮った作品用の出雲の写真を置きました。

出雲を原郷とする人たち 書評・紹介記事

出雲からの人の移動、文化・信仰伝播の軌跡
第274回新宿セミナー@Kinokuniya(2017年7月1日)で公開した図《出雲からの人の移動、文化・信仰伝播の軌跡》

サンプル(山陰中央新報連載記事)

本文サンプルとして、連載時の記事を掲載します。

類書・関連作品

  • 保高英児 日本列島に映る「古代出雲」紀行 明石書店 2008年 出版社URL
  • 三浦佑之 古事記を旅する 文春文庫 2011年 三浦佑之宣伝板(URL)
  • 第14回櫻井徳太郎賞(2015年) 高校生の部 優秀賞 吉田壮志(武蔵高等学校1年) 氷川神社の創建と発展に関する考察  東京都板橋区URL