日本では長らく郷土研究が低く位置づけられてきた。だが地域と地域の歴史を、時には国境をも越えて結びつけてみると、中央(国家)の視点で描かれてきた姿とは違う、多様な列島の歴史が浮かび上がる。海の道でつながる列島の多元的な世界(観)を、その拠点の一つ、“出雲”を媒体として結びながら、多様性が重視される21世紀の日本に相応しい、トランス・リージョナルな地域学、”異なる鏡”で”もう一つの私たち”を映し出す、日本版Ethnic Studiesとしての出雲学を創出していきたい。
(岡本雅享の研究・活動のうち、出雲学に関わるものを紹介するサイトです)
混合民族論が主流だった日本で、戦後単一民族論が拡がったのはなぜか。大和中心のNation Building(民族意識や国民の形成)を出雲、エミシ、クマソなどの視点から捉え直し、同質社会論で覆い隠された日本人内部の多様性を解き明かしながら、多元国家観に基づく民族意識の再構築を説く。