2022年12月7日、横浜市立大学国際教養学部で多文化社会論の単発講義を行った。お招き下さったのは同学部教授の滝田祥子さん。横浜市大は大学院修士課程で通った大学。当時は国際文化研究科で、現代中国政治がご専門の毛里和子先生に学びながら、1年半の中国留学で収集した情報を論文・著書にまとめていた(『中国の少数民族教育と言語政策』に結実)。20余年ぶりに訪れた横浜市大で、この間、福岡県立大学で担当してきた多文化社会論と同名の講義で話をするのは感慨深かった。
依頼されたテーマは「日本のネイション・ビルディングで隠された多様性」。九州と中国・四国出身の学生が多い福岡県大と違い、東日本出身者が目立ち、外国ルーツの学生の割合も多い中での講義。受講生約60人がぎっしり書いてくれた感想カードは、私にとっても示唆の多いものだった。よい機会を与えていただいたと感謝している。
学部の講義に次いで大学院都市社会文化研究科での演習。テーマは「日本版ETNIC STUDIESとしての越境する出雲学」だったが、せっかくなので、学生さんたちとの対話の時間を多めにとった。私が在籍していた頃、横浜市大の大学院生は少なく、毛里ゼミでも3人。中西新太郎先生の社会学系の講義や韓国語は1対1という、今思えば贅沢な環境だった。その頃に比べ、大学院生は増えていたが、数人レベルと、学生には良い環境は変わりないようで、社会学系の大学院生を持てる滝田さんが、少し羨ましく思える、いい学生さんたちだった。