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岩手日報 2014年8月31日 新刊寸評

「延暦八年の会」がアテルイ没後1200年顕彰事業をまとめた報告集『阿弖流為復権』2004年
アテルイ没後1200年顕彰事業報告集

 日本は島国の単一民族社会―といった意識に対して出雲、エミシ(蝦夷)、クマソの視点から日本人の多様性を解き明かしていく。大和(ヤマト)中心の一元国家観や、同質社会幻想を見直す狙いが込められている。

 第六章「アテルイ復権の軌跡とエミシ意識の覚醒」では、本県を含む東北の歴史や現状が分析される。故郷を卑下することなく、健やかに自己のアイデンティティーを形成してほしいという著者の願いが伝わってくる。

 

北海道新聞 2014年10月12日 本の森

 「民族」という概念は19世紀末まで日本を含む東アジアには存在しておらず、明治大正期には、出雲民族はヤマト民族と別の民族という見方が強かった。東北のエミシや南九州のクマソの復権運動なども詳述しつつ、風土記など多くの史料に基づき「日本は単一民族の国ではない」と主張する、刺激的な論考。